榎本夏樹=夏 瀬戸口優=優
合田美桜=美 芹沢春樹=春
早坂あかり=あ 望月蒼太(もち太)=も
明智咲先生=明
―ガラっ【美術室のドアが開く音】
優:夏樹~。ちょっといいか?
夏:優~、丁度よかった!
あたし達も聞きたい事があったんだ~
優:聞きたい事?なんだよ?課題の事なら…
春:うっ、ばか!優、いきなり立ち止まるなよ!
も:なに?どうしたの~
優:あ、あれ…
も:んぁ~?あ、スイカの…山?
春:ほらな、もち太~。手土産いらなかっただろ?
夏:手土産?
言っておくけど、これは美術部のだからね?
春:そうは言っても、
こんなにあったら食べきれないだろ?
俺達、映画研究部も協力してやるって!
も:そうゆう問題じゃなくない?
なんで美術室に大量のスイカが…
美:このスイカ達は町内会から貰ったんです。
夏祭りのポスターを描いたお礼にって。
優:それで、デッサンの練習に使うか?普通…
夏:描いてよし、食べてよしがスイカだよ!
優:へぇ~
美:球体って意外と描くのが難しんですよ。
それにスイカはそれぞれ微妙に模様も違うし
いい練習になるかなって。
優:おぉ、なるほど。
夏:その反応の差は~?!
春: 夏樹~、そこまでにしておけよ~
傷口に塩を塗るようなもんだろ?
夏:そ、そんなぁ~、スイカだけにぃ~?
春:そゆ事に、なるんだろうな~
も:二人してドヤ顔してるけど、
上手い事言えてないからね?
むしろ寒いからね?
あ:そ~でした!寒い話!瀬戸口君達、
七不思議って聞いた事ありますか?
優:てゆ~か、俺達もそれが聞きたくて来たんだ
夏:優達も?あ~そっか。雛ちゃんに言われたの?
あたしも虎太郎に聞かれたんだけど~
なかなか答えられなくて。
優:あぁ、今時七不思議っていうのもなぁ
も:いいじゃん、「故きを温ねて新しきを知る」
っていうし。
―ガタンッ【美術室のドアに何かがぶつかる音】
夏:びっくりしたぁ、何の音?
皆:うわぁ!!
美:ドアに何かぶつかったみたいだけど…
あ:なんともないね…
美:風だったのかな?
―ガラっ【美術室のドアが開く音】
皆:うわぁぁぁぁっっ!!!
あ:明智先生!
明:あぁ、なんだよ。
春:ははっ!ドアに顔ぶつけたのかよっ!
鼻真っ赤になってんじゃん!
明:あのね、そこは心配するところでしょうが。
夏:ほ、ほんとに明智先生だ…
も:あ、足も…よかった、ちゃんとある…
明:何の話?
もしかして俺の事、幽霊か何かかと思ったの
夏:だって、タイミングが良すぎたんだもん!
明:あ、そうそう、「故きを温ねて新しきを知る」
略して「温故知新」。
中国の思想家、孔子が喋った内容を
弟子達がまとめた論語っていう書物に
登場する言葉です。
夏:そ、そうなんだ…
明:うん。
夏:えっと…。それだけ?
明:うん、例え放課後であろうとも
大事な生徒さんたちの知識欲を
満たしてあげようっていう先生心だよ。
春:つーか、明智先生は古文担当だろ?
今の漢文じゃ~ん!
明:担当はそうだけど、
免許的には漢文も教えられるんです。
春:屁理屈かよ、だっせぇ~
優:はいはい、そこまで。
明智先生、ほんとに他には用ないんですか?
明:他に?あぁ、そうそう。
機材のトラブルで
校内放送が使えなくなっちゃてるんだよ
美:校内放送がぁ?…あっ!下校時間!
明:合田さん、正解!そーゆー訳だから、
君達も帰る支度しなさいね?
後10分もしたら校門に鍵かけられちゃうよ?
春:それを、早く言え!
明:ははは、ごめんごめん。それじゃ、また明日ね。
―ガララッ、ピシャン【明智先生が美術室を出る音】
あ:そういえば、明智先生って
いつも、タイミングよく現れるよね…
夏:えっ?何?エスパー?!
美:明智先生こそ、桜ヶ丘高校の七不思議なのかも
も:先生自体、謎の存在だしね…
【舞台は美術室から廊下へ】
明:学園七不思議ねぇ…
いつの時代にもあるんだな
【美術室から廊下に聞こえる夏樹達の声】
夏:あはは、そっかぁ~
春:はは、それじゃスイカは一人一玉な!
夏:ちょっと!本気で持って帰る気!?
も:僕達はともかく、女子には厳しいんじゃない?
美:とゆうか、これは美術部が貰った物なので…
あ:でも確かに、この量は食べきれないよね。
準備室の冷蔵庫にも入りきらないし…
夏:なら、職員室と家庭科室のも借りようよ!
で、毎日ちょっとずつ食べていこう!
優:な~つ~き~、喋ってばっかいないで
手も動かせって!クロッキー帳は?
どこにしまうんだ?
夏:あはははは!優、お母さんみた~い
優:笑い事じゃない!
あ・も・美・春・夏:あははは!
明:青春、いいね!
【明智先生が去る音】